タイトル:忘れたい過去が最短1分で消える!
著者:小池義孝
出版社:自由国民社
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この本は、怒り・悲しみ・落ち込みといった三大ネガティブ感情を手放す具体的な方法を学べる実践書です。
全170ページほどですが、文章は平易で読みやすく、じっくり読んでも1日で読み終えられるボリューム感。気軽に手に取れる一冊です。
なぜこの本を手に取ったのか
読もうと思ったきっかけは、身近な知人が「思い出し怒り」をよく起こすことでした。
何気ない会話の途中で、急に昔の出来事を思い出して怒り出す…そうした様子を何度も見てきて、「この感情はどこから来るのだろう」と疑問を抱いていたのです。
著者によれば、そうした怒りを繰り返す人は、「時間の止まった怒りを大量に抱えている人」とのこと。
まさにその表現が腑に落ちました。
ネガティブ感情の扱い方に「目から鱗」
本書では、ネガティブな感情を「耐える」のではなく、「出し切る」ことが大切だと説いています。
つまり、「悲しみきる」「怒りきる」「落ち込みきる」。中途半端に我慢して抑え込むことで、後々まで尾を引くから、心のモヤモヤの原因になるというのです。
たとえば、悲しいときに無理に笑おうとせず、しっかり悲しみに浸って泣いた方が、結果的に立ち直りが早くなるというのは、個人的にも納得できました。
感情を中途半端に処理すると、消化不良となり、心に澱(おり)のように残ってしまうのですね。
「聞くこと」が必ずしも良いわけではない
思い返すと、私自身、前述の知人に対して、良かれと思って毎回話を聞いていました。
しかし本書を読んで気づいたのは、それが逆効果だったかもしれないということ。
著者は、「怒りは火であり、苦痛が燃料。苦痛が続く限り、怒りは消えない」と述べています。
つまり、過去の出来事を何度も思い出し、それを話すことで、本人が苦痛を再体験し、結果として怒りが増幅していたのだと思うと、胸が痛みました。むしろ、私が、知らず知らずのうちに、火に油を注いでいたのかもしれません。
この本を通じて、自分自身の接し方を見直すきっかけにもなりました。
もしタイミングが合えば、その知人にもこの本を勧めてみたいと思います。
感情の出し方を「大人仕様」に
子どもは、悲しければ泣き、怒れば怒る。TPOなど気にせず、感情を爆発させて短時間でスッキリします。
結果的に、感情の出し方に関しては大人よりもはるかに上手かもしれません。
一方で、大人はそうもいきません。
場所や相手をわきまえずに感情を表出すると、「感情コントロールできない人」と認定されてしまいます。
だからこそ、ネガティブな感情が湧いたときには、できるだけ早く安心できる場所に戻って、周囲を気にせず、思いきり感情を出し切る環境をつくることが大切なのだと感じました。
「忘れたい過去」がある人、理由のわからないモヤモヤやイライラに悩まされている人、「感情の取扱説明書」が欲しい人。そんなすべての方に、手に取ってほしい一冊です。読むことで、自分の内面が少しずつ軽くなっていくのを感じられるかもしれません。