タイトル:対話の思考法 相手とぶつからないコミュニケーション
著者:山野弘樹
出版社:角川新書
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本書は、「会話」と「対話」の違いを徹底的に掘り下げた一冊です。
会話は一方通行でも成り立ちますが、対話は相手を知ろうとする姿勢がなければ始まりません。
否定も肯定もせず、ただ相手の考え方や価値観を“知ろうとする”こと、それが本当の対話の出発点です。
ここがおもしろかった!
対話は「自分一人ではできない行為」という指摘にハッとしました。
相手が心を開いてくれなければ成立しないし、お互いに“聴き合える関係”でないと続かない。
「対話しましょう」と簡単に言う前に、自分の姿勢を整える必要があるのだと感じました。
また、問いと答えの循環が対話を進めるという考え方も印象的です。
良い問いを立てる練習をしておかないと、対話はすぐに行き詰まってしまう。
相手を傷つける問いや、答えにくい問いでは、そこで終わってしまうという点には深く共感しました。
現代的な対話の難しさ
終盤に紹介されている「オンライン対話」の章は、とても実践的でした。
タイムラグや通信の不安定さで話がかぶってしまう、相手の反応が見えづらくて不安になる等のような経験は、誰にでもあると思います。
著者は、対面よりも少し「間」を取ることを勧めています。
焦らず、相手の発言が完全に終わってから話し始める。
この「一拍置く」意識は、オンラインだけでなくリアルな場面でも役立ちそうです。
また、画質やカメラの角度によって、相手の表情が誤解されることもある。
これはもう「相手を気にしすぎない」「自分が整える」くらいでいいというアドバイスにも納得しました。
より良いオンライン対話のために自分にできることとしては、カメラ写りをよくする(例:明るい部屋を選ぶ)ことや、端末の画質を向上させること等が有効だと感じました。
学びになったポイント
- 対話は、否定も肯定もしない「中間の姿勢」から始まる
- 良い問いを立てる力が、深い対話を生む
- オンラインでは、テンポより“間”を意識する
- カメラ映りを改善する
対話は、誰とでもできるものではありません。
だからこそ、自分が尊敬する人や大切に思う人と“本当の対話”ができたなら、それだけで人生は豊かになる。
本書は、そのきっかけをくれる一冊です。
こんな人におすすめ
- 人とのコミュニケーションに悩んでいる人
- 話すより聴くことを意識したい人
- オンライン会議や面談での会話に苦手意識がある人
対話を通して、より深く人を理解したい人に読んでほしい一冊です。