タイトル:見えないものを見る「抽象の目」-「具体の谷」からの脱出
著者:細谷功
出版社:中央公論新社
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著者の細谷功さんは、「具体と抽象」の専門家といっても過言ではない人物。
この本では、その概念をもとに、「見えないもの」を見る力を鍛える方法 を学べます。
ここでいう「見えないもの」とは、視野の広い人には見えて、視野の狭い人には見えないもの。
例えば、こんなケースを考えてみてください。
「信頼していた親しい人が、別のグループで自分を批判していた」と知ったとき、あなたはどう感じますか?
✅ 「裏切られた!」と思う → 視野が狭い状態
✅ 「そういうこともある」と受け止める → 視野が広い状態
この違いが生まれるのは、視野の狭い人は 「相手のすべてを見抜いている」 と思い込んでいるから。
だからこそ、「自分が知らなかった一面」が明らかになったときに、裏切られたと感じてしまう。
一方、視野の広い人は 「普段見えているのは、相手の一部分にすぎない」と考えています。
そのため、たとえ新しい一面を知っても、「そういう側面もあるのか」と思うだけで、裏切られたとは感じません。
もし、話がかみ合わない相手がいるなら、「具体の目の人」と「抽象の目の人」の違いが原因かもしれません。
この本を読んで、世の中には「自分の知らないこと」が溢れている という事実を意識するだけで、余計な悩みが減るのではないかと感じました。
白黒つけようとせず、「知らないことを知っていく」 という前向きな姿勢を持つことで、精神的に穏やかに過ごせるのではないでしょうか。
白黒はっきりさせることにこだわりすぎてしまう人に、ぜひ読んでほしい一冊です。